整理解雇
整理解雇とは??
生産・販売・受注が不振で雇用量が過剰になった際、過剰雇用を解消するために会社が一方的に社員との雇用契約を解消することをいいます。
あらためて言うまでもありませんが、解雇するということは、従業員の生活・雇用に重大な影響を及ぼします。そのため、会社の勝手な都合で解雇することは出来ず、正当な理由がなければ解雇できません。
やむを得ず解雇せざるを得ない状況に陥った場合は、その解雇が無効にならないよう、間違いの無い手続きを踏むことが大切です。
(参考条文)
労働契約法16条
解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。
希望退職との比較

・雇用調整のために、雇用契約を解除させ、結果として人件費の総額を減らす目的で行います

・希望退職は、本人と会社双方の合意に基づいて雇用契約を終了させるため、退職希望者が目標人数に達しなければ過剰雇用は解消しませんが、整理解雇は会社の一方的な意思で雇用契約を解消するので、過剰雇用は必ず解消できます
・希望退職は、退職日を双方の話し合いで自由に決定できますが、整理解雇は解雇する30日前までに予告、もしくは平均賃金の30日分の解雇予告手当を支払わなければなりません。
実施手順
手順1 解雇基準を決定します
a. 解雇人数を決定します
b. 対象者の範囲を決定します
対象者を限定する基準としては、年齢、勤続年数、扶養家族の有無、職種、資格等が考えられます。
c. 退職してほしくない労働者については、「業務遂行上特に必要な門のは除く」と明記するなどして退職を防ぎます。
d. 解雇日を決定します
e. 退職金の取り扱いを決定します
退職金には優遇措置をつけるのか、つけるのであればどの程度優遇するのかを決定します
手順2 解雇を実施する旨を社員に発表します
手順1で決定した解雇の内容を社員に通知します。
手順3 誰を解雇するのかを決定します
対象者の範囲を決定した上で、誰を解雇するのかを決定します。
ここで重要なことは、「一定の決定理由」を示せるようにしておくこと。

ただし、次の場合は上記期間中であっても解雇することが出来ます。
(1) 労基法81条の規定によって打切補償を行う場合
(2) 天災事変その他やむを得ない事由で事業の継続が不可能となった場合
((2)については労働基準監督署長の認定が必要)
手順4 個人面談を行います
整理解雇する場合は、「整理解雇に踏み切る理由、会社の状況」を社員によく理解してもらう必要があります。トラブルにならないために、解雇する社員一人ひとりと個人面談を実施し、理解を得るようにしましょう。
手順5 解雇予告をします
万一解雇の30日前に予告できないときは、「解雇予告手当」を支払います。
ただし、次の場合は労働基準監督署長の認定を受ければ、解雇予告手当を支払う必要はありません。
(1) 天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合
(2) 労働者の責に帰すべき事由に基づいて解雇する場合
手順6 退職者に諸手続きの連絡をします
一般に社員が退職するときに準じた取り扱いとなりますが、業務引継ぎに関することや、退職にあたって会社に返品するものなどについて連絡します。
また、退職後のトラブルを避けるため、以下の内容を記した「誓約書」を提出してもらうとよいでしょう。
1.競業他社に再就職しないこと
2.在職中に知りえた秘密を第三者に口外しないこと
手順7 退職金の支払いを行います
あらかじめ定めておいた支給日、支給金額などに基づいて支給します。
手順8 退職に関する社会保険などの事務手続き、社内の諸手続きを行います
主な手続きは以下のとおりです
・離職票の作成・交付
・雇用保険被保険者資格喪失届の作成・届出
・雇用保険証書の返却
・健康保険・厚生年金保険被保険者資格喪失届の作成・届出
・健康保険被保険者証の受領
・厚生年金保険手帳の返却
・貸与被服の回収
・身分証明書の回収
・退職金源泉徴収票の交付
・給与の清算
・給与支払報告書・特別徴収にかかる給与所得者異動届の提出
・従業員名簿への退職日等の記載
労働組合がある場合
整理解雇は、会社の一方的な退職勧告です。社員の生活にとっても雇用にとっても重要な影響をおよぼすため、労働組合もすぐに納得してくれるわけではありません。会社側からの説明が不十分では、労働組合の了承が得られず、整理解雇が失敗に終わることも考えられます。
整理解雇を行う際は、以下の事柄について十分な議論を尽くし誠実な対応をしなければなりません。協議を尽くさぬまま議論が進んでしまうと、組合の賛同が受けられなくなりますので、注意します。
●経営の状況
●これまでに講じた経費不振対策
●これまでに講じた雇用対策
●過剰雇用の状況
●整理解雇の内容
●整理解雇後の経営見通し
1 労働協約の取り決めを確認します
整理解雇を実施する場合はどのように取り扱うかについて、労働協約において定めているケースが多いため、その定めに従いすすめていきます。
(1)同意型…一時休業時には、労働組合の同意を必要とする
(2)協議型…一時休業時には、事前に労働組合と協議する。
(3)通知型…一時休業時には、事前に労働組合に通知する
2 1に応じて、整理解雇の必要性や解雇の内容、退職金の取り扱いなどを説明します
なお、解雇の必要性を組合に誠実に説明しても組合が応じないときは、会社側の判断で解雇を実施することができます。
そのほかのポイント!
1 整理解雇の有効性を確認しましょう
整理解雇は会社側の一方的な契約終了の通知です。
そのため、頻繁に解雇を行うようでは、その解雇自体が無効になってしまうこともあります。
これまでの判例から、「整理解雇の4要件」について確認しましょう。
この要件が満たされていない場合は、その解雇は「不当である」として認められません。
a. 整理解雇の必要性が本当にあること(会社の維持・存続を図るためには人員整理が必要であること)
b. 整理解雇を避けるための努力を会社が尽くしていること(解雇に踏み切る前に、退職者の募集、出向、その他相当の努力が尽くされたこと)
c. 対象者の選定に合理性があること
d. 労働者側との間で十分な協議が尽くされていること(解雇の必要性・規模・方法・解雇基準等について労働者側の納得を得るために相当の努力がなされていること)
2 人選の合理性・妥当性をよく検討しましょう
整理解雇の対象者の人選については、一定の合理的な基準を決め、その基準に基づいて公正に行うようにしましょう。
組合活動に熱心な社員だけを選ぶ、性別で区別するなどは公正とは言えず、不当であるとされる場合があります。





